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2021年 9月 15日 なぜ受験後半戦は辛いのか
こんにちは。石神井校担任助手の井上です。
今回の話は受験生よりの話になりますが、まだ受験生でなくても役に立つ話ですので、最後まで読んでいただければと思います。
突然ですが、受験生の皆さん!今、辛いですか?
夏の後悔がある、思ったように成果が出ない、プレッシャーが増し続ける、などの理由から辛いと思う人もいるかもしれません。
一方、新しい受講や単元ジャンルなどに触れ、なんとなく実力の伸ばし方が分かってきたり、難しい問題にチャレンジできることに楽しさを見出している人もいるかと思います。(私はどちらかというと楽しんでいる側でした。)
しかし、私もこの時期の最初から勉強を楽しめていたわけではありません。今回はどうして私が勉強を楽しめるようになったかを、その時期に得た知識とともに紹介していきたいと思います。
今それほど辛くないという方も、これを読んで予防しましょう。
まず、勉強を辛いものから楽しいものにするには、”なぜ今勉強が辛いのか”を知る必要があります。辛い原因を消し去れば楽しさも作っていけると言う理論です。
皆さんは、”なぜ今勉強が辛いのか”を考えた事はありますか?
受験は登山であり、その山の頂上付近(受験後半)は酸素が薄くてつらい、という比喩がありますが、今回は心理学的にその問に答えたいと思います。
まず、行動経済学(経済学と心理学を足したもの)に「解釈レベル理論」という言葉があります。簡単に意味を説明すると、「ある事象が起こるのが時間的、空間的に遠い時、人はその事象の本質に注目し、近い時は副次的な、その事象についてくるものに注目しやすい」という意味です。
少しわかりにくいので、結婚を具体例にしてみましょう。
結婚がまだ遠い将来の時、頭の中は伴侶との幸せな日々など、本質的(抽象的、単純)な事に注目します。しかし、結婚が近くなってくると、結婚式の準備、二家族間の関係など、副次的(具体的、複雑)なことに目が行きやすくなります。これによって、「マリッジブルー」という現象が起こると言われています。興味のある方はぜひ調べてみて下さい。
では、この理論を受験に当てはめるとどうなるでしょうか。一度読むのを止めて考えてみてください。
さて、解釈レベル理論と受験の関係について考えていただいたところで、私なりの回答にはなりますが、それにお答えしたいと思います。
『受験前半戦は志望校で何が出来るかや、将来したいことなど、”志望校の本質”を見つめていた。しかし、後半戦は志望校への想いも大きいが、それ以上に勉強に対する辛さ、すなわち”副次的なもの”を見つめている。』
皆さんの回答もおおよそこのようになるかと思います。
つまり、解釈レベル理論に基づくと、
「受験後半戦は勉強という副次的なものが大きく見えてしまうから、辛く感じやすい」
という事ですね。
ちなみに、少し話は逸れますが、人は未来に起こることの価値を軽視する、という傾向があります。加えて、先ほど述べた副次的なものは、より軽視されやすいのです。
言い換えれば、副次的なものは後になってどんどん大きくなるということです。
つまり、
「受験が始まった頃は志望校への想いも溢れていて、やる気もあって、受験勉強もやっていけると思ったのに、今は成績とか残り時間とか、辛いばっかり…」
というのは、実は心理学の立場から見たら当たり前なんですね。
辛さの正体はあなたの成績や受験本番までの残り日数など、変えるのが難しい、または変えようがないものではなく、
人が陥りがちな、”変えられる思考”なのです。
もっと言ってしまえば、単なる思い込みでしかないかもしれません。
心理学の知見の良い所は、判明したバイアス(思い込み、固定観念、不安)に対し手が打てるところにあります。
そのための第一歩、不安の正体を知ることがこのブログを読むことでできたのなら幸いです。
まとめると、
「受験後半戦は、解釈レベル理論によって勉強の辛さなど副次的なものが大きく見えて、
本質的なものが見えにくくなってしまっている」
ということです。
人の心は、知識や情報によって大きく変わります。今回私はそれをお伝えしました。あとは皆さんがそれをどう活用するかです。大事なところを丸投げされたと感じましたら、ぜひ担任助手に相談してください。一緒に考えましょう。
また、受験後半の辛さに限らず、人は様々な傾向やバイアスに思考を支配されます。
その支配から解放されるために、
「知る、考える、相談する、そして行動に移す」
という事を習慣化させてみてください。
自分の心を操る術を知れば、この先の人生においても役に立つと思います。
ちなみに私は受験はこの練習だと思って取り組んでいました。これが、私が受験を楽しめた理由です。
長く読みにくい文章になってしまいましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました。
このブログが皆さんの一助になったのなら幸いです。